【宅地建物取引士(宅建士)試験】資格の勉強方法・戦略&スケジュールの立て方!

【宅地建物取引士(宅建士)試験】資格の勉強方法・戦略&スケジュールの立て方!

この記事では、宅地建物取引士(宅建士)試験における勉強方法や戦略&スケジュールの立て方について解説していきます。いざ宅建士の試験勉強をしようとしても、どのようにすればよいのか迷ってしまいますよね。やみくもに勉強しても効率が悪いです。最短かつ効率よく合格するためには戦略&スケジュールを立てることが重要です。ここでは、実際に勉強かつ合格してわかったことや感じたことをありのままご紹介していきます。参考にしてみてください。

宅建士の勉強時間と勉強期間


宅建士の勉強時間と勉強期間

宅建士試験の勉強で必要とされる時間は約300~500時間です。

個人差はありますが、最低でも約300時間勉強しないといけません。

勉強の期間については、3カ月~1年と言われています。

3~6カ月ほどの勉強で合格する人もいます。

独学での合格は不可能ではありませんが、短期合格を目指すなら資格学校を利用するのがおすすめです。

宅建試験の概要


宅建試験の概要は、次のとおりです。

試験内容
出題数は全部で50題(登録講習修了者は45問)
① 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
② 土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
③ 土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
④ 宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
⑤ 宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
⑥ 宅地及び建物の価格の評定に関すること。
⑦ 宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
※出題の根拠となる法令は、試験の実施年度における4月1日現在施行されているものとなります。
試験の一部免除
国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習を修了し、その修了試験に合格した日から3年以内に実施される試験を受けようとする者(登録講習修了者)は、上記の➀及び➄については免除されます。
合格基準
宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかで判定されます。何点を取れば合格というような明確な基準はありません。そのため、毎年合格発表があるまで、合格最低点はわかりません。過去の合格最低点については下を参照!

年によって異なりますが、7割弱~8割弱正解しないと合格できません。


試験内容については少しわかりにくいので、詳細について解説します。

試験科目とそれぞれの問題数については、次のとおりです。

試 験 科 目
問  題  数
権利関係(民法など)
14問
宅建業法
20問
法令上の制限
8問
その他の法令
8問(登録講習修了者は3問)
合   計
50問(登録講習修了者は45問)


宅建試験の出題形式は四肢択一式です。

資格試験では五肢択一式が採用されることが多いだけに珍しいです。

また、個数問題組み合わせ問題が出題されるという特徴もあります。

個数問題とは、正しい肢や誤った肢の数を問う問題です。

組み合わせ問題とは、文字どおり正誤の組み合わせが一致する肢を選ぶ問題です。

どちらも、通常の問題よりも正確な知識と深い理解度が求められます。

それだけに通常の問題よりも難易度が高いです。

特に個数問題は厄介です。

宅建士試験の出題科目の特徴


宅建士試験の出題科目の特徴について解説します。

まず、最初に知っておきたいのはそれぞれの科目の特徴です。

これを知らずして戦略を立てることはできません。

最初に知っておこう!
  • 出題数が多い科目:宅建業法
  • 点数を取りやすい科目:宅建業法
  • 苦手としやすい科目:権利関係(民法など)
  • 重要な科目:宅建業法と権利関係(民法など)

個人差はありますが、受験生の多くはこのような傾向にあります。

それぞれの科目についてみていきます。

権利関係


権利関係は民法・借地借家法・区分所有法などからの出題となります。

メインは民法となります。

民法は、過去に勉強をしたことがない人にとっては理解しにくく、苦手意識を持ちやすい科目となります。

暗記だけでは歯が立たず、深い理解を伴わないと正解を導くことが困難な問題が多いです。

そのため、点数が伸びにくく、いかに失点を抑えることができるかがカギとなります。

権利関係が得意な人は大きなアドバンテージを得ることができます。

宅建業法


宅建業法はもっとも出題数が多くかつ点数を取りやすい科目となっています。

出題内容は、次のものなどある程度決まっています。
  • 免許
  • 35条書面
  • 37条書面
  • 営業保証金
  • 宅建士の罰則

出題箇所が予想でき、しかも暗記していれば解答できるシンプルな問題が多いです。

そのため、かなりの高得点を狙うことができます。

宅建士試験に合格したければ失敗できません。

宅建業法でどれだけ稼げるかが大きなカギとなってきます。

法令上の制限


法令上の制限は建築基準法・土地計画法・国土利用計画法・農地法などから出題されます。

さまざまな数字に関する問題が多く、暗記すれば何とかなる科目です。

ただし、量が多いので、ポイントを押さえた上で暗記する必要があります。

きちんと勉強すれば点数を稼げるだけに、他の受験生とは差がつきにくいです。

それだけに失点が多ければ、合格が難しくなるおそれがあります。

その他の法令


その他の法令は税法・不当景品類及び不当表示防止法・地価公示法などから出題されます。

税金・地価公示・不動産鑑定評価基準などさまざまな分野からの問題となります。

範囲は広いですが、暗記すれば対応できます。

テキストや過去問などで扱われた論点を中心に効率よく勉強するとよいです。

最後の5問は免除対象科目となっているため、登録講習修了者は解かなくてもOKです。

宅建士試験の戦略


宅建士試験の戦略

宅建士試験の戦略についてご紹介します。

目標点数の設定


はじめに、宅建士試験における目標点数を設定します。

宅建士試験は、合格点(合格ライン)が決まっていません。

そのため、何点取れば合格なのかは年によって異なります。

ただ、勉強するにあたっては目標点数を定めて取り組んだ方がよいです。

その方が科目ごとの力の入れ方を変えるなどメリハリの効いた勉強を行うことができます。


目標点数についてです。

直近10年の合格点の最高点は38点(2020年度10月実施)となっています。

38点取ることができれば、ほぼ合格できると思われます。

そこで、目標点数は少し高めの38点とします。


では、38点取るためには、それぞれの科目において何点必要となってくるのでしょうか?

合格できる実力のある人なら、次のような点数を取ることができると予想できます。
  • 権利関係:7~10点/14点
  • 宅建業法:17~19点/20点
  • 法令上の制限:5~7点/8点
  • その他の法令:4~6点/8点

目標点数が38点と高いため、意外と各科目で点数を取らないといけません。

ただ、直近5年に限って言うと、36点でも合格できています。

38点を目標に取り組んでおけば、万が一点数が伸び悩んでも合格点に達していることがあります。

逆に、36点を目標点数に設定しておくと、合格点に届かず不合格になるおそれがあります。

目標点数は少し高めに設定しておくと無難です。

目標点数を取るための戦略


目標点数(38点)を取るために必要となる科目ごとの点数についてみていきます。

権利関係が得意かそうでないかによって、目標点数を取るためのパターンは2つ考えられます。

・権利関係が得意な人
  • 権利関係:10点/14点
  • 宅建業法:17点/20点
  • 法令上の制限:6点/8点
  • その他の法令:5点/8点


・権利関係が得意ではない人
  • 権利関係:7点/14点
  • 宅建業法:19点/20点
  • 法令上の制限:7点/8点
  • その他の法令:5点/8点



権利関係が得意かどうかで勉強のやり方が変わってきます。

権利関係が得意であれば、宅建業法はそこまで高得点を取らなくても十分目標点数に届きます。

法令上の制限とその他の法令は5~6点取ることができればOKです。

逆に、権利関係が得意ではないのであれば、宅建業法での高得点が必須となります。

宅建業法でもカバーしきれない場合は、法令上の制限とその他の法令でさらにカバーする必要があります。


多くの人は権利関係が得意ではありませんので、パターン2を目標にしていくとよいです。

権利関係は高得点が取れればラッキーぐらいの気持ちでOKです。

その代わり、宅建業法での失敗は許されません。

資格試験対策研究所所長ユウキ
ユウキ


宅建業法で高得点を狙うという戦略が一般的です。

ただ、宅建業法は個数問題が増えたり、問題が難しくなりつつあります。

そのため、簡単には高得点が取りにくいです。

高得点を取るためには、宅建業法に時間をかけて念入りに勉強しないといけません。

予想問題集や模試なども活用して、いろいろな問題を数多く解き、知識を吸収しないと対応できないでしょう。


はじめから権利関係を捨てにかかるのはあまり得策ではありません。

権利関係における失点を宅建業法でカバーできるかどうかわからないためです。

最重要科目は宅建業法ですが、次に重要なのは権利関係と考えて取り組むのがよいです。


法令上の制限とその他の法令については基本的な問題が多く出題されます。

しかし、範囲が広く、マイナーな論点の問題も一定数みられます。

そのため、取れる問題をいかに確実に取るかが重要です。

マイナーな論点の問題は間違えても仕方がありません。

出るかどうかわかないような論点まで勉強するのは、かなり非効率です。

よく出る論点に力を入れ、あまり実績のない論点はほどほどにしないといけません。


宅建士試験の勉強をする際には、メリハリをつけることが大切です。

次の2点に注意して勉強すると失敗が少ないです。
  • 宅建業法に関してはよく出題される論点を中心として幅広く勉強する。
  • 権利関係・法令上の制限・その他の法令に関しては実績のない論点まで深入りしない。
これを徹底しましょう。


短期間で合格する上で1番やってはいけないのは、すべての科目を満遍なく勉強することです。

長期間にわたって、時間をかけてじっくり勉強するのであればそれでもよいです。

しかし、短期間で合格したいのであれば、得点しやすい科目と論点を集中的に勉強するようにしなければなりません。

科目別の足切りはありませんので、得意な科目・得意な論点をどんどん広げていってください。

そうすれば、おのずと合格が近くなってきます。

【宅建士の勉強スケジュール1】勉強する科目の順番


まずは、勉強する科目の順番について解説します。

次の順で勉強するとよいです。
  1. 宅建業法
  2. 権利関係
  3. 法令上の制限
  4. その他の法令

最初に勉強するのは宅建業法です。

理由はいくつかあります。

宅建業法は上で説明したとおり、もっとも出題数の多い科目となっています。

宅建業法のでき次第で合否が決まると言っても過言ではありません。

非常に重要な科目だけに、はじめのうちからしっかり勉強しなければなりません。

宅建業法は暗記量が多いので、早くから取り組むことで、暗記にかける時間をじっくり取ることができます。

また、宅建業法は民法のように理解するのが難しい科目ではありません。

比較的わかりやすい内容となっているので、スタートダッシュからつまずくことがありません。

民法から始めると、いきなり挫折してしまうおそれがあります。


次に、内容がわかりにくく、深い理解が求められる民法を勉強します。

民法は2番目に出題数が多い科目のため、最後に回すのはよくありません。

宅建士試験の勉強で最大の関門となります。

いきなり細かな部分まで勉強せず、よく出題される論点を中心に基本的なことから理解し暗記していくとよいです。

ここを何とか乗り切ることができればゴールが見えてきます。


あとは、法令上の制限とその他の法令です。

暗記量の多い法令上の制限の方を先に勉強するとよいです。

最後はその他の法令となります。

どちらの科目も範囲が広いので、よく出る論点を中心に勉強しましょう。

深入りは禁物です。


勉強する科目の順番には、きちんとした決まりがあるわけではありません。

そのため、自分がよいと思う順番で勉強してもよいです。

【宅建士の勉強スケジュール2】勉強の進め方


【宅建士の勉強スケジュール2】勉強の進め方

宅建士の勉強スケジュールと言っても、勉強する期間は人によって異なるため、いつまでにこれをするというような説明はできません。

そのため、やるべきことのみについて順を追って解説していきます。


勉強の進め方は次のとおりです。
  1. テキストを精読する
  2. 過去問を解く
  3. 復習する
  4. 問題を早く解く練習をする
  5. 予想問題集・模試を解く

基本的な勉強方法はどの科目でも同じです。

テキストを精読する


その日勉強する予定の箇所のみ精読します。

ここでは暗記よりも、理解することを優先させます。

過去問を解く


テキストを精読した部分に関する過去問を解きます。

いきなり正解を導くことは難しいかもしれません。

解いた後、過去問の解説部分を読み、テキストで確認します。

問題を解くというよりは、問題を見て解説とテキストを読み直すという感じでよいです。

復習する


1つ科目が終われば復習します。

今度は先に過去問を解きます。

その後、解説とテキストを読んで理解度を確認します。


少し慣れれば、復習すると同時に、次の科目の勉強もはじめていきます。

時間がたっぷりある人は、復習が済んでから、次の科目に進んでもよいです。

問題を早く解く練習をする


ほとんどの受験生はテキスト読んだり、過去問を解くことには時間をかけます。

しかし、意外と問題を早く解く練習をしません。

暗記や理解がばっちりでも、時間内に問題を解く能力が備わっていないと、全問解けなかったり、焦ってミスを連発してしまいます。

これでは合格が難しいです。

このようなことにならないように、時間を計って年度別の過去問を解いてみるとよいです。

どれくらいのスピードで解かないと時間が足りないのか目安がわかります。

一度も解いたことのない模試(自宅を含む)で試してみるのがベストです。

可能であれば、会場模試で独特の雰囲気を味わいながら問題を解くと完璧です。

予想問題集・模試を解く


過去問についてマスターできれば、予想問題集や模試を解いてみるとよいです。

同じ論点でも、違った角度からの問題を試せるなど応用力が養われます。

出題の可能性のある新たな論点に関する問題をチェックできるなどのメリットもあります。

ただ、過去問が完璧ではない人はまずは過去問のマスターを終わらせてからにしてください。

あれこれ中途半端に手を出すのはよくありません。

まとめ


宅建士試験で短期合格を勝ち取るには戦略やスケジュールを立てることは必須です。

もちろん、戦略やスケジュールを立てることなく合格することも不可能ではありません。

ただ、効率的に勉強を進めたいのなら、間違いなく戦略やスケジュールを立てた方がよいです。

私が過去に宅建士の試験勉強をしてみて感じたことです。

人それぞれによって考え方は異なるので、自分がよいと思った方法で勉強してみてください。

後悔のないようにするのが一番です。